NPO法人の定款は手続きの面からも十分な検討が必要
2012年9月24日byShigeru Miki
NPO法人にとって定款は、運営の基本となる原則を定めた重要なものです。
定款の作成は、NPO法人の設立の際において、十分な検討が必要だということはよくいわれていると思います。
もちろんこれはNPO法人に限らず株式会社等にもいえることです。
しかし、NPO法人の場合、定款変更が独特のプロセスを経て行われるため、手続きの面からも作成・変更時には十分な検討が必要だということができると思います。
変更に必要な期間
まず、NPO法人の定款変更のプロセスを確認しておきます。
定款変更は、社員総会により決議され、目的や事業の種類等の一定の事項については、所轄庁の認証を得て、登記事項については変更登記を行う必要があります。(所轄庁の認証の代わりに所轄庁への届出で足りる事項もあります。また、変更登記を伴うものについては、所轄庁への登記完了届の提出も必要です。)
ここで重要なのが、所轄庁の認証を得る過程に、2ヶ月間の公衆への縦覧期間があり、申請の受理から4ヶ月以内に認証・不認証の決定がなされるということ。
つまり、所轄庁の認証を得るだけで、2ヶ月から4ヶ月の期間を必要とします。
これに社員総会の開催と変更登記の期間を加えると、定款変更完了までの期間はさらに必要となります。
ですから、NPO法人の定款変更は、計画的に行うことが要求される一方で、臨機応変に対応することが難しいものであるといえます。
事務の負担
NPO法人内に定款変更の事務を行うスタッフが確保できていれば問題ないかもしれませんが、小規模のNPO法人には難しく負担となるかもしれません。
事務の負担を考えると、定款変更を行う回数はできるだけ少ないほうが望ましいといえます。
以上のことを踏まえると、NPO法人の定款は、設立時はもちろん、運営方針の転換等により変更を行う際においても十分に検討を重ねて作り込むことが重要であるということが手続きの面からもいえると思います。