非嫡出子の相続分は嫡出子の半分?

先日、名古屋高裁において、非嫡出子の相続分を嫡出子の半分とするのは違憲であるという判断が出されました。

民法の規定自体は違憲ではないが、今回のケースにおいては憲法に反するという「適用違憲」の判断のようですが、注目すべき判決です。

現行の民法では、「嫡出でない子の相続分は、嫡出である子の相続分の2分の1とし」(第900条4号但し書き)と規定されています。嫡出とは、婚姻関係にある男女間から生まれることをいいます。つまり、被相続人の子であっても、父親と母親が婚姻関係にあったか否かによって、子の相続分に差を設けているということです。例えば、被相続人をAとして、婚姻関係になかったAとBの間に生まれたCの相続分は、婚姻関係にあったAとDの間に生まれたEの相続分の2分の1ということになります。

今回の判決のなかで、この民法の規定が設けられた明治時代と比べて、家族関係や親子関係に対する意識は変化しており、事実婚や非婚であっても子どもを持つことが周囲にも認められつつあることは否定できないと示されています。

確かに、このような時代背景のなかで、父親と母親が婚姻届を提出していたか否かという不可抗力によって、子の相続分が異なるというのは不合理なように感じます。
この規定については、大阪高裁が平成23年8月に違憲とする決定を行っており、さらに民法改正に向けて議論されていくのではないでしょうか。

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行政書士三木茂

行政書士 三木 茂

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