相続人のなかに未成年者がいます。遺産分割協議はどのように行うのですか?

「親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する」(民法第824条)とされています。
従って、未成年者が相続人となる場合、親権者が未成年者に代わって遺産分割協議を行うことになります。

ただし、遺産分割協議を行うにあたり、親権者が未成年の子と同じく相続人となる場合や、親権者が複数の未成年である子に対して親権を行う場合など利益相反行為に該当する場合には、親権者が家庭裁判所に対して特別代理人の選任を請求することが必要となります。
以下は、未成年の子が相続人であるとき、遺産分割協議における親権者の行為が利益相反行為となる場合の例です。

① 夫Aが亡くなり、妻Bと未成年の子Cが相続人となる場合

未成年の子Cと親権者であるBの利益が相反することになり、BはCに代わって遺産分割協議を行うことはできません。
選任された特別代理人は、Aの相続人としてのBと遺産分割協議を行うことになります。

② 父Aが亡くなり、未成年の子C及びDが相続人となる場合(親権者は母BでAが亡くなる前にAとBは離婚)

親権者であるBは、未成年の子CかDの両方の代理人として、遺産分割協議を行うことはできません。
BはCかDのどちらか一方の代理人に就任することになります。そして、もう一方の未成年の子については、特別代理人が就任し、未成年の子の代理人としてのBと遺産分割協議を行うことになります。